一日遅れのチョコをあなたに。






















〜っw」


「ウザイ」


「はっ!?今オレ、超キズついたっ!」


「だからって後ろから抱きつくなっ!」


「いーじゃんvかわいぃ〜」









いっときますが、ここは


学校の廊下のど真ん中。


そんなところであたしは


赤也に後ろから抱きつかれちゃっているんです。









「放せ〜」


「ヤダ」


「別れる」


「ヤダっ!!」









赤也はかなり慌ててあたしを放した。





いつもそうなんだ。


あたしが一言「別れる」って言葉を


口にすれば、赤也はすぐに引き下がる。






あたしだって赤也のこと好きだけれど


素直になれないんだ。









赤也は朝練だから、一緒に登校できない。


だからあたしと赤也が廊下で会ったりすると、


こんなかんじ。





…ハズいとかは思わない。


もう慣れた。









〜っw」


「今度はなに?」


「オレのこと好き?」


「・・・・・。」


「!!キライっ!?」









こんなこと聞かれたのは


初めてだった。


赤也に告られて、あたしも好きだったから


OKしたんだ。


その時は首を上下に、こくんと振っただけで


「あたしも好き」とかそんなことは言ってない。






好きだよ。本当に好き。


このキモチにウソはない。


けど、そのキモチよりも恥ずかしさの方が


あたしの中で勝ってる。









・・・?」




赤也があたしの顔を覗き込んだ。


もう、あたしはいてもたっても


いられなくなって




「・・・ごめん」




そう言い残して


人けのない廊下を走って、


階段を一段飛ばしで上って、


屋上にいった。




後ろから、


赤也のあたしを呼ぶ声が聞こえた。


けれど、赤也はあたしを追ってきては


くれなかった。




少し、心の片隅で


追いかけてきてくれると


期待していた自分が嫌になった。














―――――ガチャ














屋上へのドアを開けたら


誰もいないと思っていたのに、いた。









「丸井先輩・・・?」


「おぅ。じゃん。」




丸井先輩とは


赤也と付き合い始めてから、


仲良くなった。メールもしてるし。




「赤也はいねぇの?」


「あ、ハイ。」


「そっか。」




っと言って、丸井先輩はあたしに


手招きした。


あたしは駆け足で丸井先輩のいる


屋上の隅の方にいった。









「先輩は、なんで屋上にいたんですか?」




先輩が座り込んでるところより


少し、距離をおいてあたしも座る。


丸井先輩からは


そっけない返事が返ってきた。






「考えごと。」






先輩のキャラからは


あまり想像できないシリアスな感じ。


けど、そんなことを感じたのは


ほんの一瞬だけ。






「なぁ、。」


「はい?」


「赤也はいいのか?」






赤也の名前がでて、少しドキッとした。


あたし、なんで好きなのに


好き?って聞かれて答えられないんだろ。






「いいんです。あたしなんて彼女失格です。」


「失格なんかじゃねぇ。」






先輩はさっきとは違う、


ちょっと強い口調であたしに言った。






「だって、あたし赤也に「好き?」って聞かれたのに

 なんにも答えられなくて、屋上に逃げてきちゃったし。」






ちょっと、静かになった。


先輩が、なにを考えているのかが、怖い。






は、赤也のことが好きなんだろぃ?」


「・・・好き・・・です」


「なら、大丈夫じゃねぇの?赤也ものキモチ、

 ちゃんと分かってくれてるって。」


「そうですかねぇ?」






分かるわけないと思うよ。


一度も好きなんて言ったことないし。


態度にも表したことはない。






「それより、今日ちゃんと用意してきたか?」


「へ?」


「チョコだよ!チョコ!」


「あっ、え〜っと・・・あっ!!!」


「忘れてた。のか?」







忘れてたハズがない。


バレンタインなんて忘れるハズないじゃない。






「チョコ・・・忘れた・・・」






<バレンタインデー>は覚えてた。


ちゃんと、チョコだって用意した。


そのチョコを、お家に忘れてしまいました。






「赤也のヤツ、結構期待してたと思うぜぃ・・・」


「マジっスか?」


「マジ。」






…だから今日はいつもより


語尾に「w」や「v」が多かったのか…。






「どうしましょ・・・」






あたしが本気で悩んでいたのに


先輩にサラリと言われてしまった。






「いいじゃん。明日で。」


「ダメなんです!今日じゃなきゃ!」






一度、家に帰ってから?


ダメだ。赤也は部活、あたしは塾。







。」


「はい?」


「オレさ、赤也が羨ましいかも。」


「?」


「・・・に、そんな風に思われてて。」


「・・・///」


「好き。だった。」


「へっ!?」


のことが。」







ハズい。かなり。


先輩に告られるなんて、思ってもみなかった。


てか、もう彼女いると思ってた。




けど・・・あたしには・・・









「赤也だけ。だろぃ?」


「!!エスパー!?」


「誰でもわかるって。」


「けど赤也には・・・」


「わかんねぇだろうな。」


「やっぱり。」









赤也はちゃんとあたしも


好きってことを教えてあげないと


心のどこかできっと不安がってるから。






「しかも、あたし今日チョコ忘れちゃいましたし。」


「赤也のやつ、そーゆーの結構期待してっからなぁ〜」






そうなんだよなぁ。


そんなこと気にしてないフリしてても、


本当はすっごく楽しみにしてて。


赤也にそんなところがあたしは可愛くって。






「じゃあさ、今日は」


「今日は?」


「チョコのかわりにちゃんと好きって伝える、とか。」


「・・・えっ///」


「ムリとか思ってんじゃねぇぞ。」






そんなこと言われたって、無理だ。




だけど・・・






「じゃっ、オレはこれで。」






先輩がゆっくり腰をあげた。














「先輩っ!!」


「ん?」


「あたし、頑張ります!」


「おぅ。頑張れよっ」






先輩はニカッと笑って、


屋上から立ち去った。


そして、ちょうど屋上のドアが


閉まったと思ったら、また開いて・・・










「赤也!?」




赤也がいた。




「あっじゃん。」


「えっなんでいんの?」


「丸井先輩から屋上に来いってメール着た。」






先輩が?そういえば、


さっき携帯いじってたような・・・。






「なぁ、。さっきの答えは?」






きた。


気がついたら赤也は


あたしの目の前にしゃがみこんでた。


てか、あたしの顔と超近いんですけどっ!!




がんばれ!っ!


丸井先輩も応援してくれるんだし!






















「・・・・・好き・・・///」






言えたっ!なんか恥ずかしさの上に


達成感が生まれたよっ!






「赤也は?」


とおんなじ。」


「ちゃんと言って。」


「なにを?」






なんだよっ!あたしは


ちゃんと言ってあげたのに!




そんな風に怒ったフリして


屋上から立ち去ろうとした。






っ」






名前呼ばれて振り返ったら


赤也にぎゅ〜ってされました。






「好きだよ。」


「知ってる。」


「やっぱり?」


「うん。」


「チョコは?」


「あ。」






うっかり忘れてたよ。


幸せすぎて。






「明日持ってくる。」


「忘れんなよ〜」


「多分・・・」 






ちょこっと背伸びして


触れるだけのキスを交わした。







明日こそは、


ちゃんとチョコ持ってくるから


それまでしばらくお待ちくださいネ。




1日遅れてしまった分


チョコに込めたアナタへの愛は









今も増殖中です。

























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赤也が・・・赤也が・・・
壊れとる!!!
もうさんにベタ惚れの赤也でした。
私の書くバレンタイン夢は
今のところ
一度もまともにチョコを渡していません・・・(汗
ブン太は買いチョコ、赤也は一日遅れ。
スミマセン!!!!!!!!!!

そんな夢を最後まで読んでくださった様、
どうもありがとうございました^^


05/02/05