誰もいない、ベット。






















愛の向こう        最終話






















まさか、と思い病室を出る。






ちゃんなら、そちらですよ。」






病室の前で、看護師さんが教えてくれた。


思い出せば、たしかその人は


はじめにの病室を教えてくれた人だった。


軽く頭を下げて、教えてもらった隣の部屋に駆け込んだ。



















僕の目に映ったものは







安らかに眠る














・・・?」






信じたくない。





夢であってほしい。









そんなことを思いながら、


ゆっくりとの眠るベットに近づく。










この部屋には


とても幸せそうな顔をして眠る


こんな現実を受け入れることができない僕がいた。









目の奥がじわじわと熱くなる。









の前では、こんなところ見せたくないのに


僕の目からは勝手に涙が溢れてきた。









胸の上で丁寧に組まれているの手。


そっとふれると、このあいだの温かさは消えうせて


冷たさしか残っていない。







「神様」なんていないんだ。


もしいたら、僕等の間にこんなにも残酷なことは


起こらなかっただろう。
















・・・愛してる・・・」






あの時のように、に口付けた。






「ずっと・・・愛してる・・・」







僕の涙が、の頬の上に落ちた。


親指でそれを拭い、から離れた。






病室をでて、僕の頬を伝う涙を拭った。


けれども、涙はとまらなくて。







帰ろう。と、階段を降りようとしたら、


の家族の方らしき人達がいた。






「あら、不二くん・・・」




「これ・・・が不二くんに渡してって・・・」





のお母さんはカバンの中から


水色の封筒を取り出した。




「手紙・・・ですか?」


「うん。あたしは読んでない。に昨日渡されたの・・・」




僕の手の中にある、手紙を眺めた。


はこの手紙を、どういった気持ちで書いたのだろう。




「それじゃ・・・またね、不二くん。」


「・・・はい。」




の家族の方々が、のいる病室に消えた。




手紙の封をあけ、階段を降りながら手紙をひろげる。



















周助へ






こんにちは。です。


この手紙を周助が読んでるってことは


あたしはもう周助のそばにいないんだね。


悲しいです。


1年前、本当に、周助に告ってよかった。


そうしなきゃ、今のあたしに生きる・・・希望?


みたいなものが見つけられなかったと思う。


今まで、ありがとうね。


あたしは、周助に対して


「好き」って気持ちを通り超えて


「愛してた」んだと思います。


そして


あたしと周助の愛の向こうには


こんな結末しかなかったけれども


周助といた時間、


あたしの中ですごく輝いていたと思うよ。


そしてこれから周助は


いっぱい恋して、誰かを愛して、


あたしの事なんて忘れてしまっても、


あたしは周助のことを、ずっと




愛してる。




周助を前にして、こんな恥ずかしいこと言えないから


今、ここに宣言いたします。




えっと。もうすぐ検査の時間なので、


「さよなら」じゃなくて、またね。


キスだって、そばにいることだってできないけど


でも


空のずっと上から


周助のことだけを見ているから。






                 






















また、涙がでてきて


便箋の上に静かに落ちた。










僕はのことを忘れたりなんかしない。









たとえ、以外の誰かを好きになっても









忘れない。









ここに、誓うよ。





































++++++++++++++++++++















「いい話っスね〜(涙」


「桃、そんな泣かなくても・・・」






桃は大泣き


海堂は目が少し赤く


越前は真顔。






・・・・・少し、性格が分かった。










「で、今日はの命日なんだ。」





そういったとたん、みんなの顔が


驚いた顔に変わった。






「先輩っ!早く会いにいってあげてくださいよっ!!」




桃が凄く慌てて言った。




「うん。そのつもりで今日は部活でれないっていいに来たんだけど…」


「そんなのいいっスから!早くっ!」


「うん。じゃあまたね。」




バックを持って、部室のドアノブに手をかける。


一度、家に帰ってキミの手紙を読みたくなった。


そして、キミのことを思うんだ。










「愛」を確認するかのように。























・・・・・・・・・・・・・・・・・
終わりましたね。
やっとです。ながかった。
てか、不二クンが偽者ですよね。
すみません・・・(汗
感想などありましたらBBSにどうぞ^^

全5話読んでいただいた方、ありがとうございました。


05/01/30