愛の向こう              2

























僕等が付き合いはじめたのは、


そのまた去年の…つまり1年生の頃。


と隣の席になって、少しずつだけど話すようになって…。


一番覚えてるのは、




「ごっめん不二!教科書忘れちゃったから、見せてっ!」




って僕に頼んできたとき。


「いいよ」って返事して、席を少しくっつけた。


の視線が僕の持つ教科書に向いてると思ったら、


ちょっとドキドキした。




今は国語の授業で、先生が一人ずつ


指名をしていく。




「え〜じゃあこの答えを…!」


「はいっ!?えっと…」




ガタッと音をたててが席を立つ。


はすごく困ってて、顔は真っ赤。




答えを教科書の端に書いてみせてあげた。




「えっと…接続詞?」


「正解。ちゃんと授業に集中しろよ。」


「は〜い。」




はふぅっと息をついて席についた。


そして僕に小声で「ありがとっ」と言った。



















「さっきは本当にありがとね!」




授業がおわったとたんにが話しかけてきた。




「どういたしまして。」









「あっあのさ…お弁当一緒に食べない?」




にこんなこと言われたのは


初めてだったから、すごくうれしくて




「うん。いいよ。」




とすぐに答えた。




「じゃあ、どこでたべよっか?」


の好きなところでいいよ。」


「う〜んと、屋上がいいけど寒くて嫌だし教室でいい?」


「うん。」




教室にはほとんど皆がいて、


友達、カップル、他のクラスの人達もいた。


ハタから見れば、僕等はどんな風にみえるのかな?




と机を向かい合わせにする。


のお弁当箱は赤いバンダナに包まれていて、


バンダナの結び目が解けると、


女の子らしいピンクのお弁当箱。


失礼だけど、ちょっと以外。









「あ…あのさ不二。」




お弁当を半分くらい食べ終わったところでが言った。


これまでの会話の時とは違う、真剣な表情で。









「あ…あたし、不二のこと好き………かも///」




「かも、なの?」




「いや、本当に好きかも。」




に告白されるなんて思ってもみなかったから、


最初にでてきた言葉は、それを確認するようだった。


の方をみると、頬だけでなく


耳までピンク色。


春に咲く桜よりも少し濃い。









「僕も好き…かも。」




「かも?」




「ううん。好き。」




「っしゃ〜!!!」









といると楽しいし、


好きって事は分からなかったけど、


きっとこの気持ちは


好きって事なのだろうと思った。



















けど、今では僕ものことがすごく好きで、


あの時は自分の気持ちに気付いてよかったと思う。


今はこうして、といるとすごく幸せな気持ちになれる。



















時が過ぎゆくのはとても早くて、


あの時からもう一年。


2年になってから、クラスは離れてしまったけど、


僕等の気持ちは以前より変わらず。


というより、むしろ思う気持ちが強くなった気がする。


週末は一緒にいたし、お弁当も一緒。


の赤いバンダナにピンクのお弁当箱も変わらずにある。


ひとつ変わったのは、が僕のことを


名前で呼ぶようになった。










このまま、と永遠に一緒にいたい。









いつしか僕の心の中には、


そんな願いが生まれていた。



















―――――それは、これから僕等の間に起きることを予想しているかのように。





























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ふう。前編・後編から、
プチ連載に変更!
これからがメインですね…。
ここまで読んでくださってありがとうございました!

感想をいただけたらうれしいですw

05/01/25